お金が欲しい
まだ携帯電話が世に普及していなかった時代だから、かれこれ30年前になるだろうか。当時、大学生だった僕がせっせと励んでいたのがテレフォンセックスである。と言っても、僕がテレフォンセックスをしていたわけではない。たまたま、アルバイトしていた会社があって、そこが何をとち狂ったのか「自宅テレクラ」みたいな事業を始めたのだ。Q2ダイヤルでテレフォンセックスマニアたちの仲介をする仕事である。バブル景気もあってか学生ながらに結構な給料をもらっていたものだ。
とは言え、電話がかかってくるのは男ばかり。そこで3人ほど水商売の女性が副業としてサクラをしていた。スキップビートな男から電話がかかってきたら、僕が交換機でサクラさんにピッとつなぐ役目。「あ~ん○○さん、私もうイッちゃう~」「いいですねーナイスですねーゴージャスでございますねー」などと言うアホな通話がまる聞こえ。僕はあくびをしながら聞いていた。
サクラを勤めていた女性と会ったこともあるが、「ラーメン食べながらやってる」なんて言っていた。フェラっぽい「じゅるじゅる」と言う音はラーメン啜っていた音だったのか、とこの世には夢も希望もないことを悟り、貧乏な童貞は大人の階段を昇った。
その中のサクラの1人に客にお金を無心する女性がいた。「お金ください。くれたら生でやらせてあげるよ」などと男を口説き始める。ちなみに、これは売春斡旋になるのでご法度であり、上からもそんな会話には注意しておくようにと言われていた。
ただ、上に報告してその女性がクビになるのはちょっとかわいそうだなと思い、こっそりとその女性に「客にお金くださいは止めてください」と注意をしておいた。話を聞くと、知り合いに騙されて借金の保証人になり、サラ金に追い込みをかけられているのだと言う。気の毒に思い、周りには内緒でわずかながらも彼女を援助したりしたものだ。
結局、その女性は行方をくらませた。後で話を聞くと、どうもホストに入れ込んでしまって自己破産してしまったらしい。借金の保証人とは真っ赤なウソで僕のわずかな援助はホストに流れていたと言うわけだ。この世には夢も希望もないことを悟り、貧乏な非童貞はダメな大人への階段を昇ったのだった。
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