愛人契約
「愛人だと、その人の所有物になってしまいそうで、イヤだな」
ベッドの中で、工藤さんが髪をかき上げながらつぶやいた。癖の全くないしなやかな黒髪に包まれた鼻筋の通った顔が美しい。まさにクールビューティーだ。
ただし、若干、目じりにしわが目立っている。工藤さんは僕よりも年上のアラフォーなのだ。
工藤さんとはパパ契約を結んでいる。毎月、夜を共にすることで幾許かのお金を援助中である。
数年前に個人輸入業を始めたそうなのだが、経営が上手くいかずに借金を抱えているそうだ。
「幸いと言うか不幸と言うか、付き合っている人もいないしね」
僕は彼女の滑らかな腰に指を這わせる。腰からお尻にかけての触感が焼き立ての食パンみたいで心地いい。
工藤さんは、孤独癖のある自分の性格が男と長続きしない理由と言う。口説かれて付き合ったことはあるが、自分から特定の男を好きになったことはないそうだ。
「だから、一夜限りのパパとの付き合いの方が私の性には合ってるのよね」
更に指先が工藤さんの股間に伸びると、彼女は耐えきれないとばかりに僕の唇を奪った。
長いキスを終えた後、工藤さんは僕を見つめながら熱い息を吐きながら言う。
「楽しもうね、パパ」
お金の有無が前提であり、パパと娘の間に年齢は関係ないのだけど、年上の女性にパパと呼ばれると背中がむずむずする。
パパ契約と言うよりも愛人契約に言葉を変えてほしいなあ、と思うのだけど、愛人と言う言葉が嫌いらしい。
僕の腕の中でアクメに近づいている工藤さん。誰にも縛られたくない彼女は、今日は僕の腕に縛られている。
正直な話、工藤さんは締まりは良くない。ただ、上手く腰を使ってくれるので僕は最高の心地で、彼女の中で果ててしまった。
事が終わり、一息ついたところで、工藤さんにお金を渡す。
お札を手にすると、工藤さんの美しい表情が、途端に少女のような愛くるしい笑顔に変わるギャップが見ていて楽しい。
借金の返済ももうじき終わるらしい。そうなると、もともと孤独癖の彼女である、僕とはもうパパ契約はしてくれないのだろうか?
「そうなったら、パパではなくて、愛人として契約しようかな?」
どこまで本気変わらないが、工藤さんは小悪魔のような笑みを見せた。
デート援
パパ契約